現場での作業中やDIYの最中に、愛用しているマキタのバッテリーを充電しようとしたら、赤と緑のランプが交互に点滅して充電できないというトラブルに見舞われたことはありませんか。急に道具が使えなくなると作業がストップしてしまい、本当に困ってしまいますよね。
この左右交互点滅は故障のサインと言われていますが、実は適切な対処法を知っていれば、自分で復活させられる可能性があります。
この記事では、マキタバッテリーの左右点滅の直し方やその原因、そして修理や交換の判断基準について、私の経験を交えながら分かりやすく解説していきます。
記事のポイント
- 左右交互点滅が示すエラーの意味と主な原因
- 自宅ですぐに試せる具体的なバッテリー復活手順
- 修理費用の相場と新品や互換品への買い替え判断
- バッテリーを長持ちさせるための正しい使い方と保管方法
マキタバッテリーの左右点滅の直し方とエラーの原因

まずは、なぜバッテリーが点滅してしまうのか、その仕組みを理解することから始めましょう。焦って新しいものを買う前に、まずはエラーの正体を知り、自分で試せる直し方を一つずつ実践してみてください。意外と簡単な方法で復帰することもあります。
交互点滅の意味と自己故障診断機能
マキタのバッテリー、特に型番の末尾に「B」が付いているモデル(例:BL1860Bなど)には、「自己故障診断機能」という賢いシステムが搭載されています。残量表示ボタンを押したときに、ランプが左右交互にチカチカと点滅する場合、これは単なる電池切れではありません。
この点滅は、バッテリー内部のICチップが「何らかの異常」を検知し、安全のために充電をロックしている状態を示しています。つまり、充電器が壊れているのではなく、バッテリー自身が「今は充電を受け付けられません」と拒否しているのです。これは過熱や過放電、あるいはセルの不具合など、深刻なトラブルの前兆であることが多いですが、一時的なエラーである可能性も残されています。
互換マイスター ヒロBL1830(Bなし)などの古いモデルにはこの機能がないため、故障しても点滅でお知らせしてくれません。点滅機能は比較的新しいモデル特有の親切設計とも言えます。
寿命や過放電が主な原因となる理由
では、なぜこのようなエラーが出るのでしょうか。最も一般的な原因は、残念ながら「バッテリーの寿命」です。リチウムイオンバッテリーは消耗品であり、一般的に約500回程度の充電サイクルが寿命の目安とされています。毎日ハードに使っていれば、半年から1年でこの回数に達することもあります。
また、現場でよくあるのが「過放電」です。充電切れの状態で長期間放置したり、動かなくなるまで無理やり使い切ったりすると、電圧が下がりすぎて内部セルがダメージを受けます。特に互換バッテリーの一部は、純正品ほど厳密なセルバランス制御がされていないことがあり、特定のセルだけが過放電になりやすい傾向があります。
その他、丸ノコやグラインダーなどで高負荷をかけ続けた場合や、水濡れ、落下などの物理的な衝撃も、ICチップが異常を検知する引き金になります。
端子の掃除で接触不良を改善する
ここからは具体的な「直し方」に入ります。まず最初にやるべき基本中の基本、それは「端子の清掃」です。「そんなことで?」と思うかもしれませんが、現場の埃や木屑が端子に付着し、接触不良を起こしているケースは意外と多いんです。
バッテリー側と充電器側、両方の金属端子部分をチェックしてみてください。汚れていたら、エアダスターで埃を吹き飛ばすか、乾いた柔らかい布で優しく拭き取りましょう。これだけで通電が改善し、あっさり充電が始まることもあります。まずはここから疑ってみるのが鉄則です。
温度管理をして充電を再開させる
リチウムイオンバッテリーは、温度変化に非常に敏感です。特に真冬の冷え切った車内に放置していたバッテリーや、炎天下での激しい使用直後の「アツアツ」のバッテリーは、保護回路が働いて充電できません。
もしバッテリーがキンキンに冷えているなら、暖かい室内にしばらく置いて、常温(10℃~40℃程度)に戻してから充電器にセットしてみてください。逆に熱を持っている場合は、日陰で十分に冷ますことが重要です。マキタの急速充電器には冷却ファンが付いていますが、それでも追いつかないほどの高温状態ではエラーが出ることがあります。



無理に温めたり急冷したりせず、自然に室温になじませるのがコツです。
放置して復活させる長時間充電法
「充電不可」のエラーが出ても、すぐには諦めないでください。裏技的な手法として知られているのが、「24時間充電し続ける」という方法です。
やり方は簡単です。左右交互点滅のエラー表示が出た状態のまま、充電器にバッテリーをセットして、そのまま丸一日(24時間程度)放置します。これにより、微弱な電流が流れ続け、過放電気味だったセルの電圧が回復し、ICチップのエラー判定がリセットされることがあるのです。
特に、「久しぶりに使おうとしたら充電できなかった」というような、自然放電が原因のケースでは効果が期待できます。
基盤リセットで保護回路を解除する
もう一つの復活テクニックとして、「基板リセット(擬似リセット)」があります。これは、充電器への抜き差しを繰り返すことで、一時的なエラーロックを解除しようという試みです。
手順は以下の通りです。
この動作を3回~5回ほど繰り返してみてください。また、充電器自体の電源プラグをコンセントから抜き差しして、充電器側をリセットするのも有効です。これで運良く保護回路の誤作動が解除されれば、通常通り充電が開始されます。
より詳しい復活手順については、以下の記事でも解説していますので、参考にしてみてください。




マキタバッテリーの左右点滅の直し方で解決しない時


上記の方法を試しても改善しない場合、バッテリーの劣化がかなり進行しているか、物理的な故障の可能性が高いです。ここからは、それでも諦めきれない場合の最終手段や、現実的な修理・買い替えの判断についてお話しします。
接点復活剤をスプレーして直す裏技
掃除をしても接触不良が疑われる場合、ホームセンターなどで売っている「接点復活スプレー」を使ってみるのも一つの手です。
長年の使用で端子表面が酸化したり、目に見えない皮膜ができたりして電気の流れが悪くなっていることがあります。綿棒や布に少量の接点復活剤を塗布し、バッテリーと充電器の端子部分を磨いてみてください。直接スプレーすると液だれして内部ショートの原因になるので、必ず布などに付けてから拭くのがコツです。



水分や油分は電子機器の大敵です。塗布後は余分な液剤をしっかり拭き取ってから充電を試してください。
修理はできない?費用の相場と現実
「まだ買ったばかりなのに…修理できないの?」と思う方もいるでしょう。しかし、残念ながらマキタの公式見解としては「バッテリーは消耗品扱い」であり、基本的には修理を受け付けていません。営業所に持ち込んでも、「買い替え」を案内されるケースがほとんどです。
一部の専門業者では、中のセル(電池の中身)だけを新品に入れ替える「セル交換修理」を行っているところもありますが、費用対効果を考える必要があります。修理費用の目安は以下の通りです。
| 修理・対応内容 | 費用目安 |
|---|---|
| セル交換(専門業者) | 約6,000円 ~ 10,000円 |
| 純正バッテリー新品購入 | 約15,000円 ~ 20,000円 |
| 互換バッテリー購入 | 約3,000円 ~ 8,000円 |
このように、修理に出しても新品の互換バッテリーより高くなることが多く、しかも防水性能などが落ちるリスクもあります。安全性を考えると、あまり積極的にはおすすめできないのが現状です。
互換バッテリーや新品への買い替え
復活せず、修理も現実的でないなら、やはり「買い替え」が最も安全で確実な解決策です。お財布に余裕があるなら、間違いなくマキタ純正の新品を買うのがベストです。安心感と寿命が違います。
しかし、「仕事で毎日使うから消耗が激しい」「コストを抑えたい」という場合は、信頼できるメーカーの互換バッテリーを選ぶのも賢い選択です。最近の互換品は品質も向上しており、純正品の半額以下で購入できます。ただし、あまりに安すぎる粗悪品は発火のリスクもあるため、レビューや保証内容をしっかり確認して選ぶことが大切です。
互換バッテリーの選び方や修理費用との比較については、修理費用と互換品の選び方に関する記事で詳しく掘り下げています。
寿命を延ばすための保管と使い方
最後に、新しく手に入れたバッテリーを少しでも長く、左右点滅のエラーを出さずに使い続けるためのコツをお伝えします。バッテリーの寿命は普段の使い方で大きく変わります。
- 継ぎ足し充電を避ける: 使い終わったら毎回満タンにするのではなく、ある程度減ってから充電することでサイクル回数を節約できます。
- 適切な保管残量: 長期間使わないときは、満充電ではなく30%~50%程度の残量で保管するのが理想です。
- 高温・多湿を避ける: 直射日光の当たる場所や、夏場の車内放置は厳禁です。
- 衝撃を与えない: 投げたり落としたりしないよう、ケースに入れて持ち運びましょう。
マキタバッテリーの左右点滅の直し方まとめ
マキタバッテリーの左右点滅は、バッテリーからの「SOS」です。まずは端子の掃除、温度管理、そして24時間充電や基板リセットといった直し方を試してみてください。これらで復活すればラッキーですが、もしダメなら寿命か深刻な故障と割り切りましょう。
無理に分解したり、「ニコイチ」のような危険な改造を試みたりするのは絶対にやめてください。発火事故につながる恐れがあります。復活しなかった場合は、安全のために潔くリサイクルに出し、新しい純正品か良質な互換バッテリーへの買い替えを検討してくださいね。



まずは安全な復活手順を試し、それでもダメなら買い替えが最もコストパフォーマンスと安全性の高い選択肢です!

