暑い季節の旅行では、携帯扇風機の飛行機持ち込みについて気になる方も多いでしょう。特に夏場の国内線や国際線では、移動中の快適さを確保するために携帯扇風機を持参したいものです。しかし、ANAやJALなどの航空会社では、リチウムイオン電池を搭載した電子機器に関して様々な注意点があります。
また、預け荷物として扱えるのか、それとも手荷物として機内に持ち込む必要があるのかという疑問も生じます。さらに、2025年7月に施行された新規則により、モバイルバッテリーの取り扱いに関する規定も変更されており、これらの変更点についても正確に理解しておく必要があります。
このような背景から、携帯扇風機を安全かつ確実に飛行機に持ち込むためには、各航空会社の規則や最新の法令について詳しく知っておくことが重要です。適切な準備を行うことで、快適な空の旅を楽しめるでしょう。
記事のポイント
- 携帯扇風機の基本的な持ち込み条件とバッテリー規制の詳細
- ANA・JAL等の主要航空会社別の具体的な規則と対応の違い
- 国内線と国際線における規制の相違点と注意すべきポイント
- 2025年新規則の影響と安全な持ち込みのための実践的な対策方法
携帯扇風機の飛行機持ち込み基本ルール

- ハンディファンの種類と電池規制
- 国内線と国際線での携帯扇風機持ち込み条件
- ANAの携帯扇風機持ち込み規則
- JALの携帯扇風機持ち込み規則
- 預け荷物での携帯扇風機取り扱い
ハンディファンの種類と電池規制
携帯扇風機は主に乾電池式とリチウムイオン電池式の2つのタイプに分類されます。乾電池式の場合、電池を取り外すことができるため、基本的に持ち込み制限はありません。一方、リチウムイオン電池を内蔵した充電式の携帯扇風機については、厳格な規制が適用されます。
リチウムイオン電池式の携帯扇風機で最も重要なのは、バッテリー容量が160Wh以下であることです。この制限は国際的な航空輸送協会(IATA)の規則に基づいており、ほぼ全ての航空会社で共通して適用されています。
ワット時定格量(Wh)の計算方法
携帯扇風機のバッテリー容量がmAh(ミリアンペアアワー)で表示されている場合、以下の計算式でWh(ワットアワー)に変換できます:
Wh = (mAh ÷ 1000) × 電圧(V)
例:バッテリー容量2000mAh、電圧3.7Vの場合
→ (2000 ÷ 1000) × 3.7 = 7.4Wh
市販されている一般的な携帯扇風機の多くは、10-50Wh程度のバッテリーを搭載しています。そのため、通常の製品であれば160Whの制限に抵触することはほとんどありません。ただし、大容量バッテリーを搭載した高性能モデルを使用する場合は、事前に容量を確認することが必要です。
また、海外の空港ではWh表示がない電池は持ち込み禁止となる場合があります。mAhのみの表示では問題となる可能性があるため、製品仕様書でWh表示を確認しておくことが重要です。
国内線と国際線での携帯扇風機持ち込み条件
携帯扇風機の持ち込み条件は、国内線と国際線で異なる点があります。基本的な制限は共通していますが、国際線ではより厳格な運用が行われています。
国内線での持ち込み条件
国内線では、携帯扇風機の機内持ち込みは基本的に問題ありません。ANA、JAL、Peach、Skymarkなどの主要航空会社すべてが、一定の条件下で機内持ち込みを許可しています。
国内線での持ち込み条件は以下の通りです:
国内線での持ち込み条件
- リチウムイオン電池のワット時定格量が160Wh以下であること
- 乾電池式の場合は特に制限なし
- USB充電式の場合もバッテリー容量が規定内であれば可能
- 機内での使用は安定飛行中のみ許可
国内線の場合、比較的寛容な運用が行われており、細かい容量やバッテリー状態の確認が省略されるケースが多いです。搭乗前のチェックも国際線ほど厳しくない傾向があります。
国際線での持ち込み条件と注意点
国際線については、基本的なルールは国内線と同様ですが、経由地や目的地の規制に注意が必要です。国や航空会社ごとに規則が異なり、より厳格な運用が行われています。
国際線特有の注意点として、以下の点が挙げられます:
国際線での主な注意点
- 経由地・目的地によって追加のルールが適用される場合がある
- 手荷物検査時にバッテリー容量のチェックが厳格
- 預け荷物は原則禁止とされることが多い
- 乗り継ぎ便で航空会社が変わる場合、全ての会社のルール確認が必要
特に台湾路線では、ANAの公式サイトにおいて「リチウム電池で駆動するハンディ扇風機は機内持ち込み可、預け入れ不可」との明確な記載があります。また、中国では2025年6月から、3C認証マークのないモバイルバッテリーの持ち込みが禁止されました。
アメリカのTSA(運輸保安庁)では、電動扇風機は機内持ち込み・預け荷物ともに可能としていますが、具体的な制限は航空会社の規則に従うよう指示されています。このように、国際線では「国内でOKだったから」では通用しないことが多いため、目的地・経由地・航空会社全てのルールを事前に確認することが重要です。
機内使用時の共通ルール
機内での使用については、国内線・国際線ともに共通のルールがあります。離着陸時は電子機器の使用制限により使用できません。安定飛行中のみの使用が許可されており、使用時は周囲の乗客への配慮が必要です。風向きや音量に注意を払い、客室乗務員から指示があった場合は速やかに従う必要があります。
ANAの携帯扇風機持ち込み規則
ANAは最も寛容な規則を採用しており、機内持ち込み・預け荷物ともに可能です。ただし、それぞれに条件が設けられています。
項目 | 機内持ち込み | 預け荷物 |
---|---|---|
リチウムイオン電池式 | 160Wh以下で可能 | 条件付きで可能 |
乾電池式 | 制限なし | 制限なし |
個数制限 | 100Wh以下は制限なし 100Wh超は2個まで | 電源完全オフが必要 |
ANAで預け荷物として扱う場合は、以下の条件を満たす必要があります:
ANA預け荷物の条件
- 電源を完全にオフにする
- 偶発的な作動や損傷を防止するため、強固なスーツケースへの梱包
- 衣類等による保護が必要
- 誤作動防止のためのスイッチ保護
ANAの公式サイトでは、具体的な型番で判定できるツールも提供されており、事前に確認することが可能です。また、国際線では路線によって異なる規則が適用される場合があるため、搭乗前に最新の情報を確認することが推奨されています。
JALの携帯扇風機持ち込み規則
JALは機内持ち込みは可能、預け荷物は不可という規則を設けています。公式FAQでは「充電式のハンディファンは、機内持ち込み、お預けの手荷物のどちらも可能」としていますが、実際の運用では機内持ち込みが推奨されています。
JALの規則の特徴は以下の通りです:
JALの規則の特徴
- バッテリーが取り外せないものは必ず手荷物として持ち込み
- 予備電池(外付けバッテリー)は持ち込みのみ可
- 機内での充電は禁止
- 使用は安定飛行中のみ許可
JALでは、リチウムイオン電池を内蔵した携帯扇風機について、明確にアナウンスを行っています。そのため、搭乗前に迷うことなく準備できるという利点があります。
また、JALの国際線では、バッテリー容量の表示がより厳格にチェックされる傾向があります。海外の空港では、Wh表示がない電池は持ち込み禁止となる場合があるため、製品仕様書でWh表示を事前に確認しておくことが重要です。
預け荷物での携帯扇風機取り扱い
携帯扇風機を預け荷物として扱う場合、航空会社や路線によって対応が大きく異なります。特にリチウムイオン電池を内蔵したタイプについては、厳格な規制が適用されます。
リチウムイオン電池内蔵タイプの預け荷物については、原則として預け入れは不可の場合が多いです。JAL、Peach、Skymarkなどの航空会社では、「リチウムイオンバッテリー内蔵機器の預け荷物はNG」と明記されています。
航空会社 | 預け荷物での対応 | 備考 |
---|---|---|
ANA | 条件付きで可能 | 電源OFF・梱包などの条件あり |
JAL | 原則不可 | 手荷物専用 |
Peach・Skymark | 不可 | 厳格運用 |
海外航空会社 | 不可または極めて限定的 | 公式案内要確認 |
乾電池式(電池を外せるタイプ)の場合、本体のみを預け、乾電池を取り外せば預け入れ可能な例もあります。ただし、乾電池自体は機内持ち込みにするのが基本ルールです。
預け荷物での注意点
- 国際線は特に厳格で、ほとんど認められない
- バッテリー表記が曖昧な場合は持ち込みも預け入れも拒否される
- 預け荷物に入れて手荷物検査で発見されると、最悪の場合没収・廃棄
- どうしても預けたい場合は事前申告・派手な梱包が必要
実践的なアドバイスとして、原則「機内持ち込み専用」と考えて旅程を立てることが重要です。どうしても預けたい場合は、利用航空会社の公式サイトを事前に必ずチェックし、不明点は各社窓口やカウンターで個別に相談することが安全です。
携帯扇風機の飛行機持ち込みトラブル対策

- バッテリー容量の確認方法
- 機内使用時の注意点
- 海外航空会社での規制違い
- 2025年新規則の影響
- 携帯扇風機の飛行機持ち込み完全攻略法
バッテリー容量の確認方法
携帯扇風機を安全に持ち込むためには、バッテリー容量の正確な把握が不可欠です。多くのトラブルは、この確認を怠ったことが原因で発生しています。
バッテリー容量の確認手順は以下の通りです:
バッテリー容量確認の手順
- 製品本体または取扱説明書でバッテリー仕様を確認
- Wh(ワットアワー)表示があるか確認
- mAhのみの場合は計算式で変換
- 160Wh以下であることを確認
- 必要に応じて証明書類を準備
製品によっては、バッテリー情報が見つけにくい場合があります。そのような場合は、以下の方法で確認できます:
バッテリー情報の確認方法
- 製品本体の底面や電池収納部に記載されている場合が多い
- 取扱説明書の仕様欄を確認
- メーカーの公式サイトで製品仕様を調べる
- メーカーに直接問い合わせる
海外の空港では、バッテリー容量の証明を求められる場合があります。そのため、以下の書類を準備しておくことが推奨されます:
- 製品の取扱説明書(バッテリー仕様が記載されたページ)
- メーカーの公式サイトの仕様ページのプリントアウト
- 購入時のレシートや保証書
特に中国や一部のアジア諸国では、バッテリー容量の証明に関する規制が厳しくなっています。事前に十分な準備をしておくことで、空港でのトラブルを避けることができます。
機内使用時の注意点
携帯扇風機を機内で使用する際には、周囲の乗客への配慮と安全な使用が求められます。単に持ち込み可能であっても、適切な使用方法を理解しておくことが重要です。
機内使用の基本的な制限は以下の通りです:
機内使用時の制限
- 離着陸時は電子機器の使用制限により使用不可
- 安定飛行中のみ使用可能
- 客室乗務員から指示があった場合は速やかに停止
- 機内での充電は多くの航空会社で禁止
使用時の配慮事項として、風向きや音量に注意を払う必要があります。特に、隣接する座席の乗客に風が直接当たらないよう配慮することが重要です。また、作動音についても、夜間便や静かな環境では特に注意が必要です。
2025年7月から施行された新規則により、モバイルバッテリーは座席上の収納棚に収納することが禁止されました。この規則は携帯扇風機にも適用される可能性があるため、常に手元や座席ポケットで保管することが推奨されます。
機内使用時のマナー
- 風向きを隣の乗客に向けない
- 作動音に配慮し、必要に応じて使用を控える
- 充電は事前に完了させておく
- トラブル時は客室乗務員に相談
海外航空会社での規制違い
海外航空会社では、日本の航空会社とは異なる規制が適用される場合があります。特に、バッテリー関連の規制はより厳格になる傾向があります。
主要な海外航空会社の規制の特徴は以下の通りです:
航空会社 | 持ち込み | 預け荷物 | 特徴 |
---|---|---|---|
大韓航空 | 可能 | 原則不可 | USB給電非推奨 |
チャイナエアライン | 基本可能 | 原則不可 | ゲートでの追加確認あり |
シンガポール航空 | 可能だが推奨しない | 原則不可 | 静音タイプのみ許可 |
エミレーツ航空 | バッテリー表記必須 | 容量によって異なる | 事前申告必要な場合あり |
LCCやアジア系航空会社では、日本よりも厳しめな規則の場合があります。充電やバッテリー表示が不十分な場合は、持ち込み拒否・没収例も散見されます。
また、乗り継ぎ時には特に注意が必要です。経由地の空港や次の航空会社で異なる規則が適用される場合があるため、すべての区間での規則を事前に確認することが重要です。
海外航空会社利用時の注意点
- バッテリー表示がmAhのみの場合、持ち込み不可になる場合がある
- 事前申告や証明書が必要な場合がある
- 現地の法規制により追加の制限がある
- 英語での説明が求められる場合がある
2025年新規則の影響
2025年7月8日から施行された新しい規則により、モバイルバッテリーの機内での取り扱いに関する規定が変更されました。この変更は携帯扇風機にも大きな影響を与えています。
新規則の主な内容は以下の通りです:
2025年新規則の主な内容
- モバイルバッテリーは座席上の収納棚に収納することが禁止
- 常に状態が確認できる場所(手元や座席ポケット)での保管が義務
- 充電中のバッテリーは特に厳格な管理が必要
- 異常が発生した場合の迅速な対応が求められる
この新規則により、リチウムイオン電池を内蔵した携帯扇風機についても、手荷物として持ち込んだ場合の保管場所に制限が設けられました。座席上の収納棚(オーバーヘッドコンパートメント)に入れることはできず、常に手元で管理する必要があります。
また、中国では2025年6月から、3C認証マークのないモバイルバッテリーの持ち込みが禁止されました。これは中国国内線のみの規則ですが、今後他国でも類似の規制が導入される可能性があります。
3C認証とは
3C認証(China Compulsory Certification)は、中国政府が定める強制的な製品認証制度です。電子機器や電池などの製品に対して安全基準を満たしていることを証明するマークです。
これらの規制強化の背景には、航空機内でのバッテリー関連事故の増加があります。リチウムイオン電池の発火や爆発事故を防ぐため、世界的に規制が厳格化されています。
携帯扇風機の飛行機持ち込み完全攻略法
これまでの情報を総合して、携帯扇風機を確実かつ安全に飛行機に持ち込むための完全攻略法をまとめます。適切な準備と理解により、トラブルなく快適な空の旅を楽しむことができます。
事前準備のチェックリスト

出発前に以下の項目を必ず確認してください:
事前準備のチェックリスト
- バッテリー容量の確認(160Wh以下であることを証明)
- 利用航空会社の最新規則を公式サイトで確認
- 経由地・目的地の規制を調査
- 充電の完了(機内では充電できないため)
- 必要書類の準備(取扱説明書、仕様書等)
タイプ別の最適な持ち込み方法
携帯扇風機のタイプによって、最適な持ち込み方法が異なります:
タイプ | 推奨方法 | 注意点 |
---|---|---|
乾電池式 | 機内持ち込み・預け荷物ともに可能 | 電池は機内持ち込みが基本 |
リチウムイオン電池式(小容量) | 機内持ち込み専用 | 手元で管理、収納棚使用不可 |
リチウムイオン電池式(大容量) | 事前確認必須 | 160Wh以下の証明が必要 |
航空会社別の対応戦略
利用する航空会社に応じて、以下の戦略を採用することが効果的です:
航空会社別の対応戦略
- ANA利用時:預け荷物も可能だが、機内持ち込みが確実
- JAL利用時:機内持ち込み専用として準備
- LCC利用時:規制が厳格なため、事前確認を徹底
- 海外航空会社:英語での説明資料も準備
また、トラブル発生時の対応も重要です。空港で問題が発生した場合は、以下の対応を行ってください:
- 冷静に状況を説明し、準備した資料を提示
- 航空会社のカウンターで個別相談
- 最悪の場合は諦めて廃棄する選択肢も考慮
- 次回に向けて問題点を記録・改善
最後に、規則は随時更新される可能性があるため、フライト前には必ず最新情報を確認することが重要です。公式サイトの情報が最も信頼できる情報源となります。
これらの対策を講じることで、携帯扇風機を活用した快適で安全な空の旅を実現できるでしょう。適切な準備と理解により、暑い季節の旅行もより快適に過ごすことができます。
まとめ
- 携帯扇風機の機内持ち込みは基本的に可能だが、バッテリー容量160Wh以下の制限あり
- 乾電池式は制限が少なく、リチウムイオン電池式は手荷物専用が原則
- ANAは比較的寛容で預け荷物も条件付きで可能
- JALは機内持ち込み専用で預け荷物は原則不可
- LCCや海外航空会社は規制が厳格で事前確認が必須
- 国内線は比較的緩やかだが、国際線は経由地や目的地の規制に注意
- 機内使用は安定飛行中のみで、離着陸時は使用不可
- 2025年7月新規則によりモバイルバッテリーは手元管理が義務化
- バッテリー容量の事前確認と証明書類の準備が重要
- 機内での充電は多くの航空会社で禁止されているため事前充電必須
- 海外ではWh表示のない電池は持ち込み不可になる場合あり
- 中国では3C認証マークのないモバイルバッテリー持ち込み禁止
- 周囲の乗客への配慮として風向きや音量に注意が必要
- トラブル時は客室乗務員に相談し、指示に従う
- 規則は随時更新されるため、フライト前の最新情報確認が必要