電動工具を買おうと思ったとき、多くの人が最初に直面する壁がマキタとハイコーキのどっちを選べばいいのかという悩みではないでしょうか。特にインパクトドライバーや掃除機などの人気機種を比較していると、それぞれの評判や互換性の違いが気になってなかなか決められないものです。中にはハイコーキは壊れやすいという噂を聞いて不安になっている方もいるかもしれません。私自身も現場で長年工具を使ってきた経験から、メーカー選びがその後の工具ライフを大きく左右することを知っています。
記事のポイント
- マキタとハイコーキの決定的な違いと特徴
- バッテリーの互換性と将来的な使い回し
- 用途別に見たおすすめメーカーの選び方
- 両社の価格差とコストパフォーマンス
マキタとハイコーキどっちを選ぶ?バッテリーと特徴比較

日本国内の電動工具市場において、マキタとハイコーキ(旧日立工機)はまさに二大巨頭です。どちらを選んでも性能的に失敗することはまずありませんが、長く使い続けることを考えると「バッテリーシステム」と「メーカーの姿勢」の違いを理解しておくことが非常に重要です。ここでは、両社の根本的な戦略の違いから、どちらがあなたに合っているかを深掘りしていきます。
マキタとハイコーキのシェアと将来性の違い
まず、業界の立ち位置から見ていきましょう。国内市場においては、マキタが約49%という圧倒的なシェアを誇っています。対するハイコーキは約23%です。この数字だけ見ると「みんな使っているマキタが安心かな?」と思うのが自然ですよね。
マキタの強みは、なんといってもその圧倒的な製品ラインナップとサポート体制の盤石さにあります。どこでも手に入る安心感、故障した際の修理の出しやすさは、プロの現場でも絶大な信頼を得ています。
一方、ハイコーキはシェアこそマキタに譲りますが、技術革新という意味では非常に尖った存在です。特に独自技術による性能の高さや、後述するバッテリーの利便性においては、マキタを凌駕する部分も多々あります。シェアの大きさ=自分にとっての正解とは限らないのが、この工具選びの面白いところです。
バッテリー互換性はハイコーキが有利な理由
これから工具を揃える人が最も注目すべきポイント、それが「バッテリーの互換性」です。ここで一歩リードしているのがハイコーキです。
ハイコーキには「マルチボルトバッテリー」という革新的なシステムがあります。これは、1つのバッテリーで36Vのハイパワー工具と、従来の18V工具の両方を動かせるというものです。工具本体が36Vか18Vかを自動で判別して電圧を切り替えてくれるため、ユーザーは何も気にする必要がありません。
36Vの強力な丸ノコを買った際についてきたバッテリーを、そのまま手持ちの18Vインパクトドライバーや掃除機に使い回せる点です。無駄な投資を抑え、効率よく工具を増やしていけるのが魅力です。
マキタ40Vとハイコーキマルチボルトの比較
マキタも高出力化に対応するために「40Vmax」シリーズを展開していますが、ハイコーキとは戦略が異なります。ここが最大の悩みどころであり、注意点でもあります。
マキタの40Vmaxバッテリーは、従来の18Vシリーズと互換性がありません。つまり、40Vmaxの工具を使いたい場合、バッテリーと充電器を完全に一から揃え直す必要があります。
マキタは「40Vmax」を専用設計にすることで、IP56(防じん・防水)に対応させたり、耐久性を極限まで高めたりと、性能を突き詰める選択をしました。一方、ハイコーキは「ユーザーの利便性と互換性」を重視しました。
既存の18V工具をたくさん持っている方にとっては、ハイコーキのマルチボルトの方が移行のハードルは圧倒的に低いです。しかし、「これからは全て最強スペックの40Vmaxで揃える!」と割り切れるなら、マキタの40Vmaxシリーズのタフさは非常に魅力的です。
マキタからハイコーキへの乗り換えメリット
最近、私の周りの職人さんやDIYユーザーの間でも、マキタからハイコーキへ乗り換える人が増えています。その主な理由は以下の2点です。
- バッテリー保証の存在: ハイコーキのマルチボルトバッテリーには、2年間または充電回数1,500回以内の保証がついています。消耗品であるバッテリーに保証がつくのは画期的で、維持費を気にするユーザーには大きな安心材料です。
- コストパフォーマンス: 後述しますが、同等スペックで比較した際にハイコーキの方が安価に手に入ることが多いです。
もちろん、全てを買い換えるのはコストがかかりますが、「高負荷な作業はハイコーキ、軽作業はマキタ」のように使い分けている方もいらっしゃいます。
マキタとハイコーキの価格差とコスパ検証
お財布事情も重要な判断基準ですよね。市場価格を見ていると、傾向としてハイコーキの方がマキタよりも5%~20%ほど安く購入できるケースが多いです。
| 項目 | マキタ | ハイコーキ |
|---|---|---|
| 価格帯 | 定価・実売ともに強気で安定 | 同クラスならやや割安な傾向 |
| セット品 | 種類豊富だが高額になりがち | バッテリー特典付などCP高め |
| 修理コスト | 部品流通が多く安く済むことも | 保証期間内なら無償対応も強力 |
特にDIY向けのモデルや、プロ用でもインパクトドライバーなどは、ハイコーキの方が初期投資を抑えられる傾向にあります。「性能は妥協したくないけれど、予算は抑えたい」という方には、ハイコーキのコストパフォーマンスの高さは大きな魅力と言えるでしょう。
用途別でマキタとハイコーキどっちがいいか徹底検証

スペック上の違いは分かったけれど、「じゃあ具体的に掃除機ならどっち?」「インパクトは?」と迷う方も多いはず。ここからは、具体的なアイテムや用途に絞って、どちらがおすすめかを私の経験を交えて解説します。
掃除機はマキタとハイコーキどっちがおすすめ
コードレス掃除機に関しては、用途によっておすすめがはっきり分かれます。
「手軽さ・軽さ」ならマキタです。
マキタの掃除機は、新幹線の車内清掃でも使われているように、とにかく軽くて取り回しが良いのが特徴です。カプセル式や紙パック式など種類も豊富で、家庭での「ちょいがけ」には最適です。
「吸引力・メイン機としての性能」ならハイコーキです。
ハイコーキの36V対応クリーナーなどは、業界トップクラスの吸込仕事率を誇ります。サイクロンユニットの性能も良く、絨毯のゴミやペットの毛などをガンガン吸いたい場合は、パワーのあるハイコーキに軍配が上がります。
インパクトはDIYならマキタかハイコーキか
DIY初心者から中級者の方にとって、最初の1台となるインパクトドライバー。これは結論から言うと、「手の大きさや持ちやすさ」で選んでOKですが、少し傾向が異なります。
マキタはヘッドが非常にコンパクトで軽量なモデルが多く、女性や手が小さい方でも扱いやすいです。また、カラーバリエーションも豊富で、「自分だけの色」を選べる楽しみがあります。
一方でハイコーキは、「トリプルハンマ」などの独自技術により、カムアウト(ネジ頭からビットが外れること)しにくく、スムーズな締め心地を実現しています。また、36V機のトルクは強大なので、ウッドデッキ作成など長いビスを大量に打つ作業があるなら、ハイコーキの方が楽に作業できるでしょう。
丸ノコ選びでハイコーキが人気の理由
「丸ノコといえばハイコーキ(旧日立)」と言う職人さんは今でも非常に多いです。これには明確な理由があります。
ハイコーキの丸ノコは、切断時のバランスと静音性、そしてモーターの粘り強さで非常に高い評価を得ています。特に「マルチボルト」シリーズの丸ノコは、コード式と同等以上のパワーを発揮しながら、コードの煩わしさがないため、プロ・DIY問わず大人気です。「正確に、きれいに切りたい」というこだわりがある方には、私はハイコーキをおすすめすることが多いです。
草刈機など園芸工具のラインナップ比較
お庭の手入れや農業用途で考えるなら、現状ではマキタが一歩リードしています。
マキタは「園芸のマキタ」とも呼ばれるほど、草刈機、チェーンソー、ブロワー、バリカンなどのラインナップが異常なほど充実しています。バッテリー1つで家中の外回りの管理ができる利便性は圧倒的です。
ハイコーキも園芸用品を強化していますが、種類の豊富さや、ホームセンターでの消耗品の入手しやすさを考えると、園芸メインならマキタのエコシステムに入っておくのが無難な選択と言えます。
プロの現場で壊れにくいのはどっちのメーカー?
最後に耐久性について。「ハイコーキは壊れやすい」というネット上の噂についてですが、私の経験上、プロ用モデルに関しては両社とも非常に頑丈で、耐久性に大きな差はありません。
ただ、過酷な環境(雨、粉じん、連続高負荷)での使用においては、プロの現場の声として「ハイコーキの方がモーターが焼き付きにくい」「無理がきく」という評価を耳にすることがあります。ハイコーキはモーター技術に長けているため、高負荷時の粘りに定評があります。
一方でマキタは、40Vmaxシリーズで防じん・防水性能(IP56)をバッテリー単体でも取得するなど、カタログスペックとしての耐久性を明確に強化しています。「壊れにくさ」という点では、どちらを選んでも今の日本製品は世界トップレベルですので、安心して大丈夫です。
マキタとハイコーキどっちがいいか結論まとめ
ここまで比較してきましたが、最終的に「どっちがいいの?」という疑問に対する私なりの結論です。
マキタがおすすめな人
- 豊富なラインナップから自分に合った道具を選びたい
- 園芸工具や掃除機など、幅広い用途でバッテリーを使い回したい
- とにかく軽くてコンパクトな道具が好き
- 周りにマキタユーザーが多く、情報を共有したい
ハイコーキがおすすめな人
- 18Vと36Vを一つのバッテリーで使い回したい(互換性重視)
- 丸ノコや切断系など、パワーと精度を重視する作業が多い
- 初期投資を抑えつつ、プロスペックの性能を手に入れたい
- バッテリーの保証期間など、アフターサービスの内容を重視する
どちらも素晴らしいメーカーですので、ご自身の主な用途と、将来どんな工具を買い足していきたいかを想像して選んでみてください。この記事があなたの工具選びの助けになれば嬉しいです。

