コーキングガンは、住宅の補修や防水作業に欠かせない便利な工具ですが、初めて使う方にとっては扱い方やコツがわからず、悩まれる方も多いのではないでしょうか。この記事では、コーキングガンの基本的な使い方から、仕組み、種類の特徴、選び方までを詳しく解説します。
100均やホームセンター、DCMなどで手に入るコーキングガンの特徴や、初心者におすすめの機種も紹介するので、これから購入を検討している方にも役立つ内容です。また、使用中によくある「カートリッジが外れない」といったトラブルの対処法や故障の原因、メンテナンス方法についても触れています。
さらに、プロ用コーキングガンの特徴や用途別の選び方、正しい外し方と保管方法まで網羅的に説明していますので、DIY初心者からプロの方まで、コーキング作業の効率と仕上がりを向上させるヒントが見つかるでしょう。このガイドを参考に、コーキングガンを使いこなして、きれいな仕上がりを目指しましょう。
記事のポイント
- コーキングガンの基本的な操作手順と効率的な使用テクニック
- 手動式・電動式・空圧式といった種類ごとの特徴と用途別の選び方
- コーキング剤がきれいに仕上がるコツとよくあるトラブルの対処法
- コーキングガンの正しいメンテナンス方法と長持ちさせるための保管方法
コーキングガンの使い方と仕組みを解説

- コーキングガンの仕組みと種類について
- 初心者向け!コーキングガンの基本的な使い方
- 100均やホームセンターで買えるコーキングガン
- コーキングガンが外れない時の対処法
- コーキングガンの故障原因と解決策
コーキングガンの仕組みと種類について
コーキングガンは、カートリッジ式のコーキング剤を効率よく押し出すための専用工具です。仕組みとしては、トリガーを引くことでロッド棒がカートリッジ底部のプランジャーを押し、内部のコーキング剤を先端から押し出す構造になっています。
このコーキングガンには主に3つの種類があります。最も一般的なのが「手動式」で、レバーを手で握ることでコーキング剤を押し出します。比較的安価で電源不要なため、DIY初心者にも扱いやすい特徴があります。ただし、手の疲労が大きいため、大規模な作業には不向きです。
次に「電動式」は、バッテリーの力でコーキング剤を押し出すタイプです。トリガー操作だけで均一かつ効率的に作業できるため、作業効率が格段に向上します。特に硬いコーキング材を使う場合や大規模な作業に適していますが、充電式のため稼働時間に制限がある点は留意が必要です。
そして「空圧式(エアー式)」は、エアコンプレッサーと接続して空気の力でコーキング剤を押し出すタイプです。一定の力で安定した作業ができ、手動式と比べて疲れにくいのが特徴です。多くの製品は手元で空気圧の調整が可能で、細かい作業にも対応できます。ただし、エアコンプレッサーとの接続が必要なため、作業環境によっては取り回しが悪くなる場合もあります。
これらの種類はそれぞれ特性が異なるため、作業内容や使用頻度、予算に応じて適したものを選ぶことが重要です。例えば、小規模な補修作業なら手動式で十分ですが、プロの建築現場や大型リフォームなら電動式や空圧式が効率的でしょう。
また形状の違いにも注目すべきです。一般的なカートリッジ型の他に、ソーセージ型パックに対応したパックガンタイプや、缶入りシーリング材に対応したハンドシリンダーガンなどもあります。使用するコーキング材の形状に合わせて選択する必要があるでしょう。
このように、コーキングガンの仕組みと種類を理解することで、効率的かつ効果的なコーキング作業が可能になります。用途に合った適切なタイプを選ぶことが、作業の質と効率を高める第一歩となるのです。
初心者向け!コーキングガンの基本的な使い方
コーキングガンの基本的な使い方は、シンプルながらも正確に理解しておくことで作業効率が大きく変わります。まず準備として、カートリッジ式のコーキング剤を用意します。これはホームセンターなどで購入でき、用途に合わせたタイプを選びましょう。
最初に、コーキング剤の準備を行います。カートリッジ先端のノズルを取り外し、内部の密封シールが見えるので、取り外したノズルの先端や尖ったもので破ります。次に、作業する場所の幅に合わせてノズルの先端をカッターナイフなどで斜めにカットします。このカット位置がコーキング剤の出る量を決めるので、細い部分を施工する場合はなるべく先端部分で切るとキレイに仕上がります。
準備ができたら、コーキングガンの後部にあるレバーを押しながら、ロッド棒を後ろに引き出します。十分なスペースができたら、カートリッジをコーキングガンにセットします。この際、カートリッジが落ちないようにしっかりと固定してください。
レバーを押した状態で、ロッド棒がカートリッジの底部プランジャーに当たるまで取っ手を押し付けます。これでセットが完了です。最初はコーキング剤が出ないので、トリガーを数回引いてノズル先端までコーキング剤が押し出されるのを待ちましょう。
実際の施工では、トリガーを引きながらノズルを目地や隙間に沿って動かします。この時、引く速度を一定に保つことがきれいに仕上げるコツです。速すぎると薄く、遅すぎると厚くなりがちなので注意が必要です。また、基本的には本体側から先端に向かって引く方向で作業すると綺麗に仕上がります。
コーキング剤を充填した後は、指や専用のヘラを使って表面を均します。これにより、コーキング剤がしっかりと圧着され、余分なものを取り除き、表面がきれいに仕上がります。この作業はコーキング剤が乾く前に行うことが重要です。
作業時の注意点として、コーキング剤が付着しないように周囲を養生テープなどで保護することをお勧めします。また、手にコーキング剤が付くと取るのが大変なので、ビニール手袋などを着用しましょう。さらに、浴室などの密室で使用する際は、換気をよくすることも忘れないでください。
このように、コーキングガンの使い方は基本的には簡単ですが、少しのコツと注意点を押さえることで、プロのような仕上がりを目指すことができます。最初は練習が必要ですが、徐々に慣れていくことで、住まいのメンテナンスに欠かせないスキルとなるでしょう。
100均やホームセンターで買えるコーキングガン
100均やホームセンターでは、様々な種類のコーキングガンが手軽に購入できます。特に手動式のコーキングガンは比較的安価で、多くの店舗で取り扱われています。
100均のコーキングガンは、価格の安さが最大の魅力です。ダイソーやセリアなどの100円ショップでは、基本的な機能を備えた手動式のコーキングガンが販売されています。これらは軽量で扱いやすく、小規模なDIY作業や単発的な補修作業に適しています。ただし、耐久性や使い勝手は高価なものと比較すると劣る場合が多いので、頻繁に使用する予定がある場合は注意が必要です。
一方、ホームセンターでは、より幅広い種類と価格帯のコーキングガンが揃っています。コーナンやDCM、コメリなどの大型店舗では、手動式から電動式、空圧式まで多様な製品がラインナップされています。手動式では、タジマやパオックといったブランドの製品が人気で、500円から2,000円程度で購入できます。これらは100均製品と比較して、耐久性や操作性が向上している点が特徴です。
ホームセンターの中価格帯(2,000円〜5,000円)では、液だれ防止機能や360度回転機能など、より高機能なコーキングガンも見つかります。例えば、タジマのコンボイシリーズやピーシーコックスのパワーフローガンなどは、プロ仕様のモデルでありながら、一般の方でも手に入れやすい価格帯となっています。
さらに高価格帯(5,000円以上)では、マキタやボッシュなどの電動式コーキングガンも販売されています。これらは作業効率や仕上がりの均一性に優れているため、大規模な補修作業や頻繁に使用する方におすすめです。
ホームセンターでは、コーキングガン本体だけでなく、専用のヘラやノズル、シーリング材専用の曲がりノズルなど、作業をより効率的に行うためのアクセサリーも一緒に購入できるのが魅力です。また、店員さんに相談すれば、用途に合ったコーキングガンやコーキング剤の選び方についてアドバイスをもらえる場合もあります。
注意点としては、ホームセンターで販売されているプロ用製品の中には、一般向けの説明書が付属していないものや、メーカー直送品で個人宅には配達できないものもあるということです。購入前に商品の詳細をよく確認することをお勧めします。
このように、100均やホームセンターでは、予算や用途に応じて様々なコーキングガンを入手することができます。DIY初心者であれば、まずは手頃な価格の手動式から始めて、徐々に用途や経験に合わせてグレードアップしていくのが良いでしょう。
コーキングガンが外れない時の対処法
コーキングガンからカートリッジが外れないという状況は、DIY作業中によく起こるトラブルです。この問題は焦ると余計に悪化することがあるため、冷静に対処することが大切です。
まず、コーキングガンのレバーがしっかりと押されているか確認しましょう。多くの場合、カートリッジが外れない原因は、ロッド棒の圧力がまだかかっているためです。コーキングガンの後部にあるレバーを押すと、プランジャーにかかる圧力が解放されます。このレバーをしっかりと押し込みながら、ロッド棒を引き戻してみてください。
それでも外れない場合は、コーキング剤が固まってカートリッジとガンの間に付着している可能性があります。この場合、無理に引き抜こうとせず、接合部分を少し動かしながら回転させると効果的です。時間が経っているコーキング剤は硬化して接着剤のように働くことがあるため、慎重に対応する必要があります。
また、コーキングガンの種類によっては、カートリッジホルダー部分に特殊なロック機構がある場合もあります。取扱説明書を確認するか、メーカーのウェブサイトで解除方法を調べてみましょう。特にプロ用の高機能なコーキングガンには、このようなセーフティロック機能が搭載されていることがあります。
どうしても外れない場合は、少量の潤滑油やWD-40などの浸透油を接合部分に少量塗布すると効果的です。ただし、この方法を試す場合は、次に使用するコーキング剤に影響が出ないよう、作業後に十分な清掃が必要になります。
一方で、長期間使用してきたコーキングガンでは、部品の摩耗や変形が原因でカートリッジが外れにくくなっていることもあります。この場合、無理に力を入れると部品が破損する恐れがあるため、専門店での修理や新しい製品への買い替えも検討すべきでしょう。
予防策としては、使用後のコーキングガンをきちんと清掃し、特にカートリッジを取り付ける部分に残ったコーキング剤をきれいに拭き取ることが重要です。また、保管時にはロッド棒を引いた状態にしておくと、次回使用する際にスムーズに操作できます。
このように、コーキングガンからカートリッジが外れない問題は、適切な対処方法を知っていれば解決できることがほとんどです。焦らず冷静に対応することで、長くコーキングガンを使い続けることができるでしょう。
コーキングガンの故障原因と解決策
コーキングガンは比較的シンプルな構造の工具ですが、使い方や保管方法によっては様々な故障が発生することがあります。ここでは、一般的な故障の原因と解決策について詳しく説明します。
最も多い故障の一つが「トリガーの不具合」です。トリガーを引いてもコーキング剤が押し出されない、あるいは引きにくくなる症状がよく見られます。この原因としては、内部のラチェット機構に汚れやコーキング剤が付着していることが考えられます。解決策としては、分解できるタイプであれば内部を掃除することが効果的です。分解できない場合は、WD-40などの浸透油をトリガー部分に少量スプレーし、数回動かしてみることで改善することがあります。
次に「ロッド棒の動きが悪い」という故障も頻繁に発生します。これはロッド棒の表面に硬化したコーキング剤が付着しているか、長期間の使用による摩耗が原因と考えられます。対処法としては、ロッド棒を丁寧に掃除し、必要に応じて軽く油を塗布することが有効です。ただし、油を付けすぎるとコーキング剤が汚染される恐れがあるため、使用後にしっかり拭き取るようにしましょう。
「プランジャーの破損」も比較的よく見られる故障です。プランジャーとはロッド棒の先端にある、カートリッジを押す部分のことで、強い力がかかるため経年劣化しやすい部品です。破損すると押し出し効率が著しく低下します。多くの場合、プランジャーは交換部品として販売されているので、取り外して新しいものに交換することで解決できます。
また、「カートリッジホルダーの変形」も故障の一因となります。特に安価なコーキングガンや長期間使用したものに見られます。無理な力をかけたり、落下させたりすることで発生しやすく、カートリッジがしっかり固定されなくなります。軽度の変形であれば、ペンチなどで元の形に戻せる場合もありますが、ひどい場合は修理が難しいため買い替えを検討した方が良いでしょう。
電動式コーキングガンでは、「バッテリー関連の不具合」も故障の原因となります。充電ができない、すぐに充電が切れるなどの症状が現れた場合は、バッテリーの寿命が考えられます。多くの場合、バッテリーは交換部品として購入できるので、メーカーに問い合わせてみると良いでしょう。
予防策としては、使用後のメンテナンスが非常に重要です。コーキング作業後は必ず残ったコーキング剤を拭き取り、特にロッド棒やカートリッジホルダー部分は丁寧に清掃しましょう。また、長期間使用しない場合は、湿気の少ない場所に保管し、ときどき動かして機構部分が固まらないようにすることをお勧めします。
このように、コーキングガンの故障は適切なメンテナンスと使用方法を心がけることで多くを予防できます。もし故障してしまった場合も、ここで紹介した対処法を試してみることで、修理や買い替えの前に解決できることも少なくありません。
コーキングガンの使い方と選び方ガイド

- コーキングガンの種類を比較!どれがおすすめ?
- 初心者にもおすすめのコーキングガン3選
- プロ用コーキングガンの特徴と選び方
- DCMでのコーキングガンの使い方と注意点
- 用途別コーキングガンの正しい選び方
- コーキングガンの正しい外し方と保管方法
コーキングガンの種類を比較!どれがおすすめ?
コーキングガンには主に手動式、電動式、空圧(エアー)式の3つのタイプがあり、それぞれに特徴があります。どのタイプが自分に合っているのか比較してみましょう。
手動式コーキングガンは、最もベーシックで一般的なタイプです。価格は500円〜3,000円程度と比較的リーズナブルで、初期投資を抑えたい方に適しています。電源や動力の補充が不要なため、どこでも使用できる手軽さが魅力です。また、細かい作業に向いており、コーキング剤の出量を自分でコントロールしやすいのもポイントです。ただし、レバーを握る力が必要なため、長時間の作業では疲労感が増し、作業効率が落ちることがあります。特に硬めのコーキング剤を使用する場合は、かなりの握力が必要になるでしょう。
電動式コーキングガンは、バッテリーの力でコーキング剤を押し出すタイプです。一般的に10,000円〜25,000円程度とやや高価ですが、トリガー操作だけで均一にコーキング剤を出せるため、作業効率が格段に向上します。手の疲労も少なく、大規模な作業でも快適に使用できます。特に粘度の高いコーキング剤を使う場合や、広範囲の作業では大きな威力を発揮するでしょう。デメリットとしては、バッテリーの持続時間に制限があること、本体重量が増すことなどが挙げられます。また、精密な作業では出量調整が手動式ほど繊細にできない場合もあります。
空圧式(エアー式)コーキングガンは、エアコンプレッサーと接続して使用するタイプです。価格は5,000円〜10,000円程度で、電動式より安価ながら同等のパワーを持っています。均一な圧力でコーキング剤を押し出せるため、一定の質の高い仕上がりが期待できます。手の疲労も最小限に抑えられるのが特徴です。ただし、エアコンプレッサーが必要なため、初期投資や作業場所が限られることがデメリットとなります。また、エアホースの取り回しが悪くなりがちで、狭い場所での作業には不向きな場合もあります。
これらを踏まえると、使用頻度や作業の規模、予算によって最適なタイプは変わってきます。例えば、DIY初心者や小規模な補修作業なら手動式、プロや頻繁に使用する方なら電動式や空圧式がおすすめです。また、屋外での作業が多い場合は電源不要の手動式か、バッテリー駆動の電動式が便利でしょう。
コーキングガンを選ぶ際は、作業内容と自分のスキルレベルを考慮し、使いやすさと価格のバランスを取ることが重要です。最初は手動式で基本を学び、必要に応じてグレードアップしていくのも良い方法です。
初心者にもおすすめのコーキングガン3選
DIY初心者の方にとって、最初のコーキングガン選びは悩ましいものです。ここでは、使いやすさ、価格、性能のバランスが良い初心者向けのコーキングガン3選をご紹介します。
1つ目は「タジマ コンボイV(CNV-V)」です。価格は約1,500円と手頃で、本体重量わずか315gという軽量設計が特徴です。長時間作業しても疲れにくく、女性や高齢者の方でも扱いやすいモデルとなっています。さらに、液だれ防止機構を搭載しているため、作業後の片付けも簡単です。トリガーを離すと自動的にロッド棒が戻り、コーキング剤の圧力が解放される仕組みなので、初めての方でも失敗しにくいのが魅力です。ただし、パワーは中程度なので、非常に硬いコーキング剤には不向きな点は留意しておきましょう。
2つ目は「パオック(PAOCK)Bcross コーキングガン JM-100」です。約500円という破格の価格ながら、基本機能は十分に備えた優れものです。特筆すべきは、本体にノズル切断穴とコーキング剤の注入穴あけ具が内蔵されている点です。これにより、準備作業がスムーズに行え、別途道具を用意する手間が省けます。本体はスチール製で比較的丈夫なため、多少乱暴に扱っても壊れにくいのも初心者には安心です。安価な分、液だれ防止機能は完璧ではありませんが、コストパフォーマンスを考えると非常に優れた選択肢と言えるでしょう。
3つ目は「山本製作所 カートリッジガン YCG-2000」です。価格は約2,000円とやや高めですが、その分操作性に優れています。ハンドル部分が360度回転するロータリー式を採用しており、様々な角度からの作業が可能です。また、グリップ部分は握りやすい形状に設計されているため、力の入れ方が分かりやすく、初心者でも均一にコーキング剤を押し出しやすいのが特徴です。カートリッジのぐらつきも少なく、安定した作業が行えます。価格は他の2つより高いですが、長く使うことを考えると、最初に少し投資する価値はあるでしょう。
これら3つのモデルはいずれも、標準的な330mlカートリッジに対応しています。選ぶ際のポイントは、自分の体格や力の強さ、予算、そして使用頻度です。たとえば、時々の簡単な補修作業だけなら最も安価なBcrossで十分かもしれません。一方、これから定期的にDIYを楽しみたい方なら、使い勝手の良いタジマや山本製作所のモデルがおすすめです。
初めてコーキングガンを購入する際は、まずは手動式からスタートし、使い方に慣れてから必要に応じて電動式などにステップアップするのが理想的です。こうした手順を踏むことで、基本操作をしっかり学びながら、徐々に作業の効率と質を高めていくことができるでしょう。
プロ用コーキングガンの特徴と選び方
プロ用コーキングガンは、一般向け製品と比較して耐久性、操作性、押し出し力などが格段に向上しています。長時間の連続作業や高精度な仕上げが求められるプロの現場で活躍する道具です。
プロ用コーキングガンの最大の特徴は「耐久性」にあります。一般向け製品では樹脂製の部品が多用されるのに対し、プロ用では金属製パーツが多く採用されています。例えば、ピーシーコックスのウルトラフローガンでは、高強度アルミ合金フレームを使用し、摩耗しやすいラチェット部分も強化されています。これにより、日々の酷使に耐え、長期間安定した性能を維持できるのです。
次に注目すべきは「押し出し力」です。プロ用モデルはスラスト比(レバーを握る力に対する押し出し力の倍率)が高く設計されています。山本製作所のハイパワーモデルYCG-2300HCでは、スラスト比が一般品の1.5倍以上あり、硬化が進んだコーキング材や高粘度シーリング材でも容易に押し出せます。冬場の低温環境下でコーキング材が硬くなっても、スムーズに作業できる点はプロにとって大きなメリットです。
操作性の向上も見逃せません。ほとんどのプロ用モデルには「液だれ防止機構」が標準装備されており、トリガーから指を離した瞬間にコーキング材への圧力が解放されます。タジマのコンボイJエコパックなどは、独自の「TTシステム」により、より確実な液だれ防止と同時に素早い押し出し再開を可能にしています。また、360度回転するフレームや人間工学に基づいたグリップデザインなど、長時間作業の疲労を軽減する工夫も随所に見られます。
プロ用コーキングガンを選ぶ際は、まず作業内容に合わせたタイプ選びが重要です。例えば、建築現場で広範囲のシーリング作業が中心なら、大容量の900mlカートリッジに対応したタジマのコンボイJ900などが効率的です。一方、精密な仕上げが必要な内装工事では、繊細な出量調整が可能なモデルが適しています。
電動式や空圧式も、プロの現場では積極的に採用されています。マキタのCG180Dなどの電動モデルは、ダイヤル変速とトリガー変速の組み合わせにより、素材や施工箇所に応じた最適な押し出し量を設定できます。エアー式では、マックスAT-CG50のように軽量コンパクトながら安定した吐出性能を持つモデルが人気です。
価格帯はピンキリですが、良質なプロ用手動コーキングガンは4,000円〜10,000円程度、電動式は15,000円〜30,000円程度が相場です。一見高価に感じるかもしれませんが、耐久性や作業効率を考慮すると、プロとして長く使うならむしろコストパフォーマンスに優れていると言えるでしょう。
プロ用コーキングガン選びでは、必ず実物を手に取って重量感や握り心地を確認することをお勧めします。また、修理やメンテナンス対応の良いメーカーを選ぶことも、長く愛用するためには重要な要素となります。
DCMでのコーキングガンの使い方と注意点
DCMホールディングス(カーマ、ダイキ、ホーマックの統合ブランド)では、様々な種類のコーキングガンと専用のコーキング剤を取り扱っています。これらの製品を使いこなすためには、基本的な使い方と注意点を理解することが大切です。
DCMで購入したコーキングガンを使用する前に、まずは取扱説明書をよく読むことをお勧めします。多くのホームセンターブランド品には、日本語でわかりやすい説明書が付属していますので、初心者の方でも安心して使用できます。
使い方の基本手順としては、最初にコーキング剤のカートリッジ先端のノズルを取り外し、内部の密封シールを破ります。DCMのコーキングガンには、先端に密封シールを破るための突起が付いているモデルもあり、これを使えば簡単に作業できます。続いて、ノズルの先端を作業する隙間の幅に合わせてカットし、再度カートリッジに取り付けます。
次にコーキングガンの後部にあるレバーを押しながら、ロッド棒を後ろへ引きます。十分なスペースができたら、カートリッジをガンにセットします。この時、カートリッジがガンに確実に固定されているか確認しましょう。レバーを押したままの状態で、ロッド棒をカートリッジの底部に当たるまで押し込みます。これでセット完了です。
DCMのコーキングガン使用時の注意点としては、特に初心者の場合、最初は少量ずつ出すように心がけることが重要です。一度に大量のコーキング剤を出すと、余分な分を取り除くのに苦労するからです。また、DCMのプライベートブランド製品には、液だれ防止機能が付いていないモデルもあります。そのため、使用後は速やかにトリガーから手を離し、必要に応じてノズル先端に付着したコーキング剤を拭き取りましょう。
また、DCMでは様々なタイプのコーキング剤も販売されています。シリコン系、変成シリコン系、ウレタン系など、用途に応じた適切な種類を選ぶことが大切です。間違ったタイプを選ぶと、接着力や耐久性に問題が生じる可能性があります。不安な場合は、店員さんに相談することをお勧めします。DCMの店舗では、専門知識を持ったスタッフがアドバイスしてくれます。
保管に関しては、使用後のコーキングガンはカートリッジを取り外し、特にロッド棒とカートリッジホルダー部分をきれいに掃除しておくことが大切です。DCMで販売されている専用クリーナーを使うと、コーキング剤の除去が簡単になります。コーキング剤が硬化してガンに付着すると、次回使用時に動きが悪くなったり、故障の原因になったりするからです。
以上のように、DCMでのコーキングガンの使用には特別な難しさはありませんが、基本をしっかり押さえて丁寧に扱うことで、長く快適に使い続けることができます。DIY初心者の方でも、少しの練習で上手に使いこなせるようになるでしょう。
用途別コーキングガンの正しい選び方
コーキングガンは用途によって適切なタイプが異なります。効率的に作業を進めるためには、目的に合ったコーキングガンを選ぶことが重要です。
まず、浴室やキッチンなど水回りのシーリング作業には、「液だれ防止機能」を搭載したコーキングガンがおすすめです。この機能があれば、トリガーから指を離した瞬間にコーキング剤への圧力が解放されるため、垂直面や頭上での作業でも余分なコーキング剤が垂れる心配がありません。例えば、タジマのコンボイシリーズやピーシーコックスのウルトラフローガンなどは、優れた液だれ防止機能を備えています。
外壁やサイディングの目地には、押し出し力の強いコーキングガンが適しています。屋外用のコーキング剤は一般的に粘度が高く、押し出しにはある程度の力が必要だからです。スラスト比(レバーを握る力に対する押し出し力の倍率)が高いモデルを選ぶと、力の弱い方でも楽に作業できます。山本製作所のYCG-2300HCや電動式であればマキタのCG180Dなどが、高粘度材料にも対応できる押し出し力を持っています。
また、広範囲の施工作業には、大容量のコーキングガンが効率的です。標準的なカートリッジは330ml容量ですが、600mlや900mlに対応した大型モデルもあります。例えば、タジマのコンボイJ900は900mlカートリッジに対応しており、カートリッジ交換の手間を減らして作業効率を向上させます。
狭い場所や複雑な形状の箇所での作業には、ノズルの角度調整が可能なコーキングガンが便利です。多くのプロ用モデルでは、ノズルホルダー部分が360度回転する「ロータリー式」を採用しています。これにより、作業者は楽な姿勢を保ちながら、あらゆる角度からコーキング剤を注入できます。窓枠の隅や配管周りなど、アクセスが難しい場所での作業に特に役立ちます。
DIY初心者で少量の補修作業を行う場合は、軽量コンパクトなモデルがおすすめです。本体重量が500g以下の軽量モデルや、長さが短いコンパクトモデルなら、扱いやすく疲れにくいでしょう。タジマのコンボイVや、近年話題のSILIGUNのようなミニサイズモデルは、収納スペースも取らず、気軽に使えます。
プロの建築業や定期的に大規模な作業を行う方には、電動式や空圧式のコーキングガンが適しています。これらは手動式より価格は高いですが、長時間の連続作業や大量のコーキング剤を使用する場合には、労力の節約と作業品質の向上が期待できます。マキタやボッシュなどの電動モデルは、吐出量の調整機能も充実しており、繊細な作業にも対応できます。
最後に、コーキングガン選びでは予算も重要な要素です。手動式なら500円から5,000円、電動式なら15,000円から30,000円程度が相場です。頻度や作業量を考慮して、適切な投資額を決めましょう。時々の小さな補修なら安価なモデルで十分ですが、定期的に使用するなら、多少高くても品質の良いものを選ぶ方が長い目で見れば経済的です。
このように、コーキングガンは用途によって最適な選択肢が変わってきます。自分の作業内容や頻度、体力などを考慮して、最も適したタイプを選ぶことが成功への近道です。
コーキングガンの正しい外し方と保管方法
コーキングガンを長持ちさせるためには、使用後の正しい外し方と適切な保管方法が重要です。ここでは、コーキングガンからカートリッジを外す方法と、長期間良好な状態を保つための保管のポイントをまとめます。
コーキングガンからカートリッジを外す際の基本手順は非常にシンプルです。まず、ガン後部のレバーを押し、ロッド棒を数センチ後方に引きます。これによりカートリッジ底部のプランジャーへの圧力が解放されます。この状態でカートリッジホルダー部分を支えながら、カートリッジを手前に引き抜きます。
ただし、カートリッジが外れにくいケースもよくあります。特に、コーキング剤が漏れてガンとカートリッジの間で固まっている場合は、無理に引き抜こうとせず、カートリッジを少し回転させながら引き抜くと効果的です。それでも外れない場合は、接合部分に少量のWD-40などの浸透油を塗布すると、固着したコーキング剤が緩みやすくなります。
カートリッジを外した後は、必ずコーキングガンの清掃を行いましょう。特に重要なのは、ロッド棒先端のプランジャー部分とカートリッジホルダー内部です。ここに残ったコーキング剤が固まると、次回使用時にスムーズに動かなくなる原因となります。清掃には、コーキング剤のタイプに合わせた溶剤を使用します。シリコン系なら専用クリーナーやアルコール、ウレタン系なら未硬化のうちにシンナーなどで拭き取ると効果的です。ただし、溶剤を使用する際は換気に十分注意しましょう。
部分的に使用したコーキング剤カートリッジの保存方法も知っておくと便利です。専用の保存キャップがあれば最適ですが、ない場合は釘やネジをノズルに差し込み、さらにアルミホイルなどで包むことで、内容物の乾燥を防げます。こうして保管したカートリッジは、1ヶ月程度なら再使用可能です。
コーキングガン本体の保管には、清潔で乾燥した場所を選びましょう。湿気の多い場所で保管すると、特に金属部分が錆びる原因となります。また、直射日光も避けるべきです。UV光によってプラスチック部分が劣化する可能性があるからです。工具箱や専用ケースに入れて保管すると、ほこりからも守られ理想的です。
長期間使用しない場合は、ロッド棒を完全に引き出した状態で保管することをお勧めします。これにより内部のバネやラチェット機構への負担が軽減され、寿命を延ばすことができます。電動式コーキングガンの場合は、バッテリーを外し、50〜70%程度充電した状態で保管するのがベストです。完全放電状態で長期保管するとバッテリーの寿命が短くなる可能性があります。
冬場の寒い時期には、使用前にコーキングガンを室温に戻しておくことも大切です。特に手動式は、低温下では内部の潤滑油が固まりやすく、動きが悪くなることがあります。使用前にしばらく室内に置いておくだけで、スムーズな操作が可能になります。
以上のように、コーキングガンの正しい外し方と保管方法を守ることで、この便利な工具を長期間良好な状態で使用し続けることができます。少しの手間と注意を払うことで、次回使用時もスムーズに作業を始められるでしょう。
コーキングガンの基本的な使い方と選び方のまとめ

- コーキングガンは主に手動式、電動式、空圧式の3種類がある
- カートリッジ先端のノズルを取り外し、内部の密封シールを破る
- ノズル先端を作業する隙間の幅に合わせてカットする
- コーキングガンのレバーを押しながらロッド棒を引き出す
- カートリッジをセットし、ロッド棒をプランジャーに当てる
- トリガーを引いてコーキング剤を押し出す
- 適切な速度で一定に動かすことできれいに仕上がる
- 充填後は指や専用ヘラを使って表面を均す
- 初心者は手動式から始めるのが効率的
- 水回りには液だれ防止機能付きのモデルが適している
- 外壁作業には押し出し力の強いコーキングガンが必要
- 広範囲の作業には大容量タイプが効率的
- 狭い場所での作業にはロータリー式が便利
- 使用後は必ず清掃して乾燥した場所に保管する
- 長期保管時はロッド棒を引き出した状態にしておく